1→50名

50名まで

小川:自分の会社の従業員が50人に到達するまでに、社長を含めて幹部の方々はどんなことを体験されるんですか?

石山:従業員50人までというのを、社長1人の第1段階と、社長プラス6人でコアメンバーができた第2段階、7人×7人で49人の第3段階というふうに分けてみます。まず、第1段階はいいとして、第2段階では社長とコアメンバーの6人が個別に話をしているので、社長の考えが大体伝わっています。第3段階では、それぞれに7人ずつ部下がついて、社長、幹部、社員という3階層になっています。幹部を通じて話を聞いている社員は、社長の考えを大体理解していますから、理念とか方向性とか何をやっちゃ駄目で、どういうふうに評価をされるか、この第3段階までは通じます。問題は50人を超える第4段階以降。ここから認識のズレがすごく増えてくるんです。ですから、従業員が50人になるまでに色々と準備をしておくことが大事です。

先ほどの問いの、50人に到達するまでに何が起きるのかというところをシンプルに話すと、まずは「1人から2人の壁」です。創業者が何でも自分でやってしまうタイプの人の場合、他人に助けを求めるのが苦手なのでチームを組もうとしません。自分で何でもやってしまう症候群の人は、それだけで売り上げを3000万円分ぐらい損しているということに気づいたほうがいいですね。

2人以上になったときに起きるのが、社長が商品開発と営業を兼ねている場合、その他の社員に対して、「俺がこれだけ売り上げを上げているんだから、これやれよ」みたいな上下関係が生まれやすいということです。お互いに持ちつ持たれつではなくて、「数字をもって来ているんだから、後はお前がやれよ」という感じになってくる。そうなると、そこから歪みが生まれるケースはよくあるなと思いますね。これがお互いにできないことをやってもらっているんだという、相互に尊重できている関係からスタートすると、その後はうまく行っているところが多い気がします。

次は10人ぐらいからですね。10人以内のときは、何とか目が届くしコミュニケーションも取れますけれども、10人から20人、30人となると、社長が毎日全員とコミュニケーションを取れなくなるんです。大体8人を超え始めるとそうなりやすいですね。そうすると、誰かを介してコミュニケーションを取る状態になるので、社員の中には自分がよく把握できていない人が出てきます。よく把握できていない人=何の仕事をしているか分からない人ですから、自分自身でマネジメントしながらも、その部下を幹部にどれぐらい任せるかという線引きが大事になってきます。なので、仲良しだったら雰囲気でできてきたことを、ロジカルな会社としての判断基準や理念や行動規範という形で文章化する必要が出てきます。

あとは、それぞれの役割は何だったかと改めて確認する必要が生まれてきて、皆が全部の仕事をする状態からこの人はこの専門家というのが少しずつ分かれていきます。逆に言うと、この仕事は私の担当ではありませんと言われることもあるので、誰もやらない仕事が増えてきます。社長やNo.2がそれを全部拾っていっぱいいっぱいになるというのが50人ぐらいまでで結構多い状態ですね。例を言うと、専務とか役員をやっている人が人事も広報も総務も法務も1人でやっているような感じ。でもまだ新たに人を雇えるような状態ではないし…というところで、色々な苦労が出てくるのが50人までですかね。

小川:先ほど50人を超えるまでに色々と準備をしておいた方がいいという話もありましたが、50人を超えたらまた加速度的に状況が変わっていくということですか?

石山:そうです。50人を超えて、例えば、100人近いときに理念をつくり直すとか制度をつくり直すと、その後現場に落とし込むのは大変です。だから、50人になる前に制度の骨格だけでもつくって、それを普段から言っておいた方がいいんですよね。どういう人を評価するのか。どういう人は評価しないのか。理念がないとそういうのも言えないので、最初につくっておいた方がいいですね。

小川:どういう人を評価するとか、どういう人を評価しないとか、そういうのが決まった上で組織を大きくしていくとトラブルになりにくいということですか?

石山:そうです。例えば、何となく仲良しで会社をつくったら、売り上げが上がって、従業員が40人ぐらいになったという会社があったとします。その頃やっと余裕ができたので、社長が「俺は、本当はメディアの事業がしたかったんだ」と言って、メディアを始めるんですけど、それまでしてきた仕事と全然関係がないから、「何で急にメディアをやるんだろう?」って周りの理解が得られないんですよ。やりたいことが見つかって社長だけは乗り気だけど、他の人は全く興味がないので「社長、何か別なことを始めちゃったね」と社内が変な空気になってしまいます。もともとそれがやりたいと言って集まってきた仲間であればいいのですが、社長だけが急に考えが変わったら、皆がついて来ない。そういう理由で分社した例もありますね。

小川:文化にせよ制度にせよ、ある程度大きくなるまでに準備をして整えた方が大きくなりやすいということですね。

社長のスタンス

小川:社長の言うことを聞きすぎる社員と言うことを聞かない社員がいると思うんですが、会社にとってはどちらの社員がいっぱいいた方がいいんですか?

石山:どっちがいっぱいいても困ります(笑)まず、松下幸之助さんをイメージしていただけると分かりやすいんですけど、創業者が神格化されている場合は、言うことを聞きすぎる社員になりがちですね。本気でやろうと思ったら、建設的な反対というか、「それって、どうなの!?」みたいな突っ込みって必要じゃないですか。でも、皆イエスマンになってしまって、それが原因で事業が形にならない危険性もあるんです。逆に、言うことを聞かない社員はどうかというと、社長が、例えば、CSRや本業を通した社会貢献やSDGsみたいに、本当にいいことをしようとしても、「ああ、また社長何か言ってるわ」という感じで右から左に受け流されてしまう。

これって、やっぱりどちらも駄目じゃないですか!?1番いいのは、適切に正しいフィードバックをくれる関係ですよね。社長が間違っていたら、「それは違うんじゃないの?」と突っ込んでくれたり、「こんな情報もありますよ」と教えてくれたり、上下(関係)というよりはお互いに支援し合える、突っ込み合える関係をつくっておくと意思決定の質は下がりません。

小川:そういう関係でいるために社長は何をすればいいんですか?

石山:私はこんな会社をつくりたいと最初に決めることが大事です。それがもしトップダウンの軍隊みたいな会社だとしたら、黙って言うことを聞けという経営方針になるので、それがいい人しか入らないわけですよ。逆に、うちはクリエイティブな会社だから皆がアイデアを出し合うブレストを大事にしたいんだとしたら、ブレストのときには上下関係なく突っ込み合っていいよ、タメ口でいいよという文化にすればいい。そこに共感した人たちが集まってくると、意図した関係性が築きやすいです。

結果を出す社員の見極め方

小川:結果を出す、数字を上げる社員は採用の段階でどう見極めればいいんですか?

石山:これはズバリ「質問の深さ」ですね。本当に自分がそのポジションに立って、その仕事をやるという前提で話を聞いている人は、自分がそこでこれをやるんだったらこれが分からないなとか具体的な部分まで想像できているので、「ここはどうなんですか?これは使えるんですか?この人のこのリソースって貸してもらえるんですか?条件はどうなんですか?」って細かいところを聞いてくれるんですよ。逆に、受け身で、言われたことだけやろうという人は、質問はほとんどしないです。本当にそのポジションで責任を果たそうという意志があったら、たとえ初対面の採用面接の場面だったとしても、かなりいい質問を投げかけてきますよ。「私がこれをやるんだったら、こういうところがちょっと分からないんですけど」とか、「こういう場合ってどうなんですか?」とか、「似たようなところを今の会社でやっているんですけれども、こういう場合はこういうのが多いんですけど御社では違うんですか?」とか、具体的で深い質問をたくさんしてくれます。聞いているこっちは、この人は本気で責任を持ってやる気があるなと感じますよね。ですが、ほとんどの場合は質問ありますかと聞いても、「あ、大丈夫です!」と答える人ばかり。反対にこちらが「あなたが大丈夫ですか?」って心配になります(笑)質問をしてこないということは、そこまで真剣に考えていない、やる気がないと感じますから、基本は採用しないですよね。

小川:面接のときの相手の主体性で、ある程度スクリーニングできるということですね?

石山:主体性というか、質問の深さですね。まあ、質問の量と質とも言えますね。

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ライブドアのメディア事業をゼロから立ち上げた経験(6名→600名)のある石山喜章が、御社の組織づくりに関する課題を解決します。成長企業に必要な「理念・バリューの再構築」、「評価制度の設計」、「幹部人材の育成」など、業績の上がる組織を創りたい経営者の方はご相談ください。

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