自分の潜在意識を変える方法

変化の5ステップ

中川:「変化の5ステップ」について伺いたいと思います。経営者に限らず、自分を成長させてより良くなっていきたいと皆さん思っているはずなのですが、どういうステップで人は変わっていくのか教えていただけますか?

石山:ステップ1が、自分の内面を観察する。ステップ2が、自分の行動パターンを自覚する。ステップ3が、その行動パターンの原因を分析する。ステップ4が、その原因に対する解釈を変える。ステップ5が、未来の自分のアイデンティティをつくる。

中川:それぞれのステップについて、もう少し具体的に教えていただけますか?

石山:自分の行動パターンに影響を与えているのは、大体が幼少期の体験だったりするので、もしそれが親との関係で生まれたものならば、自分の解釈は本当に正しいのだろうかと深掘りしたほうがいい。そうすると、過去に対する考え方が変わるんですね。

中川:石山代表にも、ご自身の行動パターンに影響を与えた体験がおありなのですか?

石山:僕の場合は、「いつか捨てられる」と思い込んでいたのですが、それは生まれてから2歳までの原体験があったからなんです。両親が共働きで忙しくて、ずっと祖母の家に預けられていたんです。両親は毎週会いに来てくれるけれど、最後は僕を置いて帰ってしまう。そのことが僕の「いつか捨てられる」というアイデンティティをつくってしまったんですね。でも捨てて行ったのではなくて、忙しいから預けていたというのが事実で、夫婦共働きだし、起業したばかりで余裕がなかったんです。自分が親の立場だったら同じようにしたかもしれないし、両親が決して僕を愛していなかったわけじゃないんだということが分かったら、自分の行動パターンが変わっていきました。実際はすぐに変わったわけではなくて、それまでの行動をついついやってしまう自分を現行犯逮捕しながら、意識して変えていくんですけど、そのときに大事なのが未来の自分のアイデンティティをつくることなんですよ。例えば、僕が「いつか捨てられる」というアイデンティティをやめたいと思っても、「じゃあどうなりたいの?」という具体的なイメージがなかったら、これからどこに行けばいいか迷ってしまいますよね。「こうなりたい」「こうはなりたくない」という2つの方向で具体的なイメージを持つことで、だんだんアイデンティティが変わっていくんです。それが変化の5ステップですね。

中川:自分を形づくっていた出来事への認識を変えることで、自分自身が変わっていけるということですね?

石山:そうですね。例えば、あるメディアの会社で広告の営業をやっていた女性がいたんですね。彼女は、特にお父さんとの関係が原因で、「他人がしゃべる=私を攻略する」というアイデンティティを持っていました。攻略されないためには自分がしゃべり続ければいいという行動パターンを持っていたので、営業なのにクライアントの話を全然聞けないわけですよ。それで、彼女が実家に帰るときに、実際どうだったのか確認してきてもらったら、自分が父親からいかに愛されていたかが分かって、帰ってくるなり「心にあった不安とか焦燥とかがなくなって、安心した」と言っていました。それからは人の話をきちんと聞けるようになって、たった半年ぐらいで営業成績がバンバン上がっていったんですよ。

中川:先ほどの話もそうですが、石山代表の話を伺っていると、もちろん組織論や人事設計などが重要であることは分かるんですけど、それよりも先にやらなければならないことがあるんだろうなという気がします。そちらのほうが成果によりリンクしている大事なこと、本質なのかなという風に思うんですけど、実際どうですか?

石山:そうだろうなと思いますね。

中川:組織論などはフレームワークの中の話だと思うので、それよりもそれぞれが人として考え方やあり方をどのように変えていけるのかというほうが本質なのかなと感じがしますね。

石山:結局、組織と言っても人の集まりなので、個人が変わらないと始まらないと思っているんですよ。誰が変わるのって、やっぱりリーダーから変わらないと変化って波及しない。その起点となる個人の変化さえつくれたら、隣の人も変わるし、他の人も変わるし、じわーっと波及すると思うので、まずは個人の変化にコミットするというのをまず掲げようかなとは思っていますよね。そこから組織の変化につながってくるし。

中川:なるほど。あくまで個人だと。

石山:起点はそうですね。特に、経営者個人は。実際、ある有名なネットの会社では7,000万円使ってすごい会議を導入して、コンサルを受けて、ファシリテーターを育てて、1年かけて何も変わらなかったと言っていました(笑)

中川:それちょっと尋常じゃないですね(笑)というかすごい会議をするのに、7,000万円もかけるんですか?

石山:ファシリテーターをたくさん育てたら、そのぐらい使うんですって。だから、そのぐらいお金と時間を使っても、トップが変わらないと何も変わらないんですよ。でも、それから2年ぐらいして、社長が何かのきっかけで「俺もそろそろ変わらなきゃな」と思って変化を始めた途端、全てが変わり始めたんです。

中川:自分が変わらないと、現実は変わらない。石山代表がずっとおっしゃっていることですね。なるほど、分かりました、ありがとうございます。

未来IDの設定

「“○○な自分から、○○な自分へ”未来のアイデンティティをセット」

中川:今回は、「○○な自分から、○○な自分へ。未来のアイデンティティをセット」というテーマなのですが、これはどういうことですか?

石山:これは変化の5ステップの5つ目、未来の自分のアイデンティティをつくるという話で、僕のように「いつか捨てられる」という思い込みから、「自分は存在していてOKなんだ」「ありのままの自分でOKなんだ」という考え方に切り替えようということです。これは転職するときも同じです。例えば、営業から人事に転職したら、営業の役割と人事の役割って全然違うので、求められる能力も変わるし、周りにいる人も変わるし、常識も変わるじゃないですか。それと一緒で、新しいアイデンティティを明確にセットすると、現実が全部変わってくるんですよ。

中川:なるほど。

石山:人が引っ越し先の家の内装に時間やお金をかけたりするのと一緒で、きちんと時間を取って新しいアイデンティティのイメージをつくり込んでおくと、気持ちが切り替えやすい。逆にそれが曖昧だと、ただ何となく有名になりたいだけだと、有名にはなれないですよ。自分自身と丁寧に対話しながらつくっていったほうがいいですね。

中川:なるほど。これは非常に分かりやすいですね。

逆の習慣をつけることで

「逆の視点と習慣を蓄積する」

中川:逆の視点と習慣を蓄積するためには、どのようなトレーニングがありますか?

石山:例えば、僕は「いつか捨てられる」という思い込みから、人の役に立たなければならないという行動パターンを持っていました。人から認めてもらえなかったりすると、僕はやっぱり捨てられるんだと勘違いして、まるで自分の人生がそんな経験ばかりのような気がしたんです。でもこれって、たくさんある経験の中からネガティブなものだけを選んでそう判断しているだけで、選ばなかった素材の中には、人から褒められたり認められたりした経験もたくさんあったはずなんですよ。自分はそれを受け入れていなかっただけなんですよね。確かにネガティブな経験も実際1割か2割はあるけど、残りの8割、9割は褒められているじゃん、認めてもらっているじゃんって。ポジティブなほうをもっと受け取るトレーニングをしましょうと。そしたら、「何だ、俺ってこんなに人から受け入れてもらっているんだ」という実感が湧いてきて、「いつか捨てられる」「人から認めてもらえない」というアイデンティティから、「人から受け入れられ、認めてもらっている」というアイデンティティに変わってきます。これが逆の視点のトレーニングです。

中川:なるほど。ちなみに、この逆の視点のトレーニングですが、具体的にはどのような方法が有効ですか?

石山:人によりますが、先ほども言ったように、日本人は幹部層を中心に自己否定する人が多いので、「自分には大して価値がない」という思い込みから、「自分のこういうところは受け入れられる」と少しずつでいいから、アイデンティティを切り替えていくことが有効かなと思っています。幹部層で実力がある人って、「私なんか、まだまだですよ」という口ぐせの人が結構多いですよ。例えば、俳優の妻夫木聡君は、自分が出演した映画の試写会で「何だ、駄目だな、この演技」とかっていつも自分にダメ出しするんですって。そうやって、自分の演技を見るたびに改善点を見つけるから、それだけ成長するわけですよ。仕事ができる人ってこういう思考パターンがすごく多いんです。

中川:今の話を聞くと、仕事ができる人というのは、自己否定をするからこそ成長できているわけじゃないですか。ただ、自己否定と、自分のアイデンティティをプラスの方向に変えていかないと良い成長サイクルに入れないということは、一見すると相反しているのかなと思ったんですが、そこについてはどうお考えですか?

石山:良い質問をありがとうございます。その通りで、自己否定しているから成長できているわけで、逆に自分肯定が成長を邪魔してしまう場合もあります。ここで重要なのは、自己否定しっぱなし、自己肯定しっぱなしは、不幸の原因になるということです。

中川:もう少し具体的に教えていただけますか?

石山:例えば、ペンをずっと握っていたらご飯も食べづらいし、用を足した後にお尻も拭きづらい。生活にいろいろな支障が出ますよね。つまり、ペンを握り続けることが苦しみの原因になっているわけで、適度に使って、適度に手放すようにすれば、それは便利な道具になるんですよ。

中川:はあー、なるほど!

石山:成長するために反省会や内省をするときは自己否定の能力を使えばいいですが、普段はそれを手放していい。逆にそれを持ったままだと、自分だけでなく友達に対しても「あれが駄目、これが駄目」と批判的になってしまうので、それって息苦しいですよ。自己否定を手放してもいいときにきちんと手放すことができるようになれば、自分との関係も含めて、状況は良くなるでしょう。

中川:なるほど。それはすごく腑に落ちますね。

石山:もちろん、ペンを使うなと言っているわけではないですよ(笑)

中川:自己否定してはいけないというわけではなくて、それを程よく手放せるようになると良い成長サイクルに入れるということですね?なるほど。分かりました、ありがとうございます。

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ライブドアのメディア事業をゼロから立ち上げた経験(6名→600名)のある石山喜章が、御社の組織づくりに関する課題を解決します。成長企業に必要な「理念・バリューの再構築」、「評価制度の設計」、「幹部人材の育成」など、業績の上がる組織を創りたい経営者の方はご相談ください。

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