自動車の運転も人間関係も基本は同じ

「4つのステップ」で理解と実践につなげる

 人間は、年齢や経験を重ねるだけではコミュニケーションのスキルを上げることはできません。つまり、人間関係をうまくつくっていくためには、正しい理解と実践が必要になってきます。
 
 仮に、みなさんが自動車の運転免許を持っているとして、考えてみてください。
 
 自動車を思いのままに運転するには、どんな理解と実践をしていきましたか?
 
 まずは、教習所で自動車の機能・特性を知るところ(=「Know」)からスタートしたのではないでしょうか。アクセルを踏めば走る。ステアリングを切れば曲がるなど。
 
 そうした理解の前提のもと、実際に自動車を運転してみます。(=「Do」)、すると一回目の実践で駐車するのが難しい(=「Feel」)などのフィードバックを得ます。
 そして、何度も何度も訓練しながら運転の感覚をつかみ、やがて「I am ドライバー」という段階に到達するわけです。

 この4つのステップ(理解→実践→感覚→習得)は自動車の例だけではありません。
 
 楽器を弾けるようになったり、スキーが滑れるようになったりするときも同様で、どこかのステップを飛ばして、いきなり自分のものにするには、よほど天才的な人でなければ難しいでしょう。

潜在意識を理解すると「ムダな努力」がなくなる

 あるところに、新品の自転車を買ってもらった男子がいました。その子は一生懸命自転車のペダルを漕いでいたのですが、1ミリも前に進まなかったそうです。
 
 「ペダルを回せばタイヤが回転する」ことは理解しているのですが、いったい何が理由で進まなかったのでしょうか?
 
 実はこの男の子、スタンドを上げた状態で一生懸命漕いでいたのです。同じように、中途半端な理解をもとにした実践では、望む結果を得ることは非常に難しいと言えます。仕事でお客様に企画書をつくるときも、相手の要望を正しく理解していなければ、せっかくの努力がムダに終わってしまいます。

 これは人間関係にも同じことが言えます。人とコミュニケーションを取るために免許取得は必要ありませんが、まったくの自己流で続けてうまくいかないということは、いろんな努力がムダになってしまっているのではないでしょうか?
 
 人とのコミュニケーションも、基本はまず「潜在意識の構造」を知って理解するところから始めるほうが、自分と他者の関係をよい方向にコントロールしやすくなります。正しい理解をもとにした実践行動でなければ、思った通りの結果を得ることはできないのです。

学生が論文を書く場合

 さて、ここからはさらに具体的な例で解説をしていきたいと思います。

 みなさんは、大学に入学したところでいきなり「卒業論文を1か月以内で提出するように」と言われてどう思いますか?
 いきなりは無理ですよね。大学の基本的なシステムは以下で整理できます。

① 理解(Know)
大学1年生~2年生で一般教養や理論を学ぶ。
② 実践(Do)
大学3年生時にゼミに入り、研究成果の発表を実際にやってみる。
③ 感覚(Feel)
指導教官や先輩たちからフィードバックをもらい、発表の難しさを感じる。
④ 習得(I am 学士)
いよいよ4年生で卒業論文を作成し、学士授与される。

このステップがすべてそろってようやく大学を卒業できます。

 入学したての大学生AさんとBさんがいます。Aさん、当初は勉強に打ち込む気合が十分の状態で入学してきましたが、新歓コンパを経てサークルに打ち込むようになり、すっかり勉強意欲が落ちてしまいます。またサークルの先輩たちも「サークル活動に打ち込んでも就活に活かせるから大丈夫。授業もテストの過去問持ってるから安心しな!」と甘言でAさんを惑わします。Aさんの大学生活3年間は、以下のようになってしまいました。

① 理解(Know)
一般教養や理論の授業の代筆を頼み、すっかりさぼる。
② 実践(Do)
ゼミを他人任せにしてさぼる。
③ 感覚(Feel)
指導教官や先輩たちからのフィードバックを聞かない。

 そして4年生、いよいよ卒業論文の作成に取り掛かります。そのとき、はじめてAさんは気づきます。
 「あれ?意外に卒業論文って難しいな…。」

 Aさんの状態をまとめると以下の通りです。

① 理解(Know)
一般教養や理論の授業の代筆を頼み、すっかりさぼる⇒理論や知識、教養が不足。
② 実践(Do)
ゼミを他人任せにしてさぼる⇒アウトプットが不足。
③ 感覚(Feel)
指導教官や先輩たちからのフィードバックを聞かない⇒難しいor簡単の感覚も不明。
④ 習得(I am 学士)
結果、四苦八苦しながら卒業論文を執筆⇒学士になれるのか怪しい状態。

 いまさら3年分のステップを一年間で再度取り戻すこともできません。Aさんは四苦八苦しながら卒業論文を執筆することになったのでした。

 ゆるいゼミや学部であれば、これでも最低限卒業論文を提出すれば、学士授与してくれるところもあるでしょう。しかし、それで「習得した」と言える状態でしょうか?資格はあっても、それを使いこなせるかどうかはわかりません。すなわち習得(I am 学士)という状態かどうか怪しいものです。したがって、Aさんには以下のようなデメリットが生じています。

① 学問という意味での大学4年間は無駄になってしまった可能性が高い。
② 学問上の成果を考慮すると、大学4年間の学費は高かったと言わざるを得ない。

みなさん、仮にAさんの親御さんの立場でしたら、どのように感じますか?金返せって言いたくなりそうですね。教育と投資はイコールで考えるべきではないかもしれかせんが、これが投資でしたらいかがでしょう?即刻、資金を引き揚げますよね?

 では、Bさんのケースです。Bさんは新歓コンパを経てサークルにも入りましたが、勉強への意欲は変わりませんでした。Bさんの3年間は以下の通りとなりました。

① 理解(Know)
代筆や過去問に頼らず、大学1年生~2年生の授業や課題は自分の力でやり抜く。
② 実践(Do)
ゼミに入り、研究発表なども率先して取り組む。
③ 感覚(Feel)
指導教官や先輩たちからフィードバックをもらう。
 以上のような3年間です。申し上げずとも、もうお分かりかと思いますがBさんは余計やストレスなく、周囲の環境をフルに生かして卒業論文に取り組むことができるでしょう。
 Bさんの状態をまとめると以下の通りです。

① 理解(Know)
代筆や過去問に頼らず、大学1年生~2年生の授業や課題は自分の力でやり抜く。⇒必要な理論や知識の獲得。
② 実践(Do)
ゼミに入り、研究発表なども率先して取り組む。⇒アウトプットができる。
③ 感覚(Feel)
指導教官や先輩たちからのフィードバックをもらう⇒研究成果の発表の難しさを知る
④ 習得(I am 学士)
卒業論文を難なく執筆でき、学士授与され大学を卒業できる。

 Aさんと比較しても、Bさんの4年間は有意義なものとなっていることがお分かりいただけたと思います。結果としては

① Aさんは、学問という意味での大学4年間は無駄になってしまった可能性が高いがBさんは有意義な時間を過ごせた
② Aさんは、学問上の成果という点では大学4年間の学費は高かったと言わざるを得ないが、Bさんは学費も無駄にはならなかった。

さて、ここまでが大学生の例です。

 この例は、人間関係も同じです。まったくの自己流でやり続けてうまくいかないということは、時間やお金、エネルギーがムダになっていることではないでしょうか?
 人とのコミュニケーションも、基本はまず「潜在意識の構造」を知って理解するところからです。過分なストレスなく、自分と他者の関係をよい方向にコントロールしやすくなります。正しい理解をもとにした実践行動でなければ、思った通りの結果を得ることはできないのです。

 改めて、冒頭に戻ります。

人間か年齢や経験を重ねるだけではコミュニケーションスキルを上げることはできません。つまり、人間関係をうまくつくっていくには、そのための正しい理解と実践が必要になってきます。

みなさんは、このまま年齢や経験、スキルを積み重ねて人間関係の問題を解決していくでしょうか?いきなり卒業論文を書こうとしますか?

それとも、正しい理解と実践を積み重ね、人間関係をより豊かにしていきますか?

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