「思い込み」はトラブルの種

「悲劇のヒロイン」と「加害者」の関係性とは?

 自分と自分自身を取り巻く世界に対してどのようなとらえ方をするのか。
 
人の性格や価値観は、ほとんどの人が10歳くらいまでの環境や経験によってつくられます。

 私の場合は、実家が自営業だったので両親共働きで忙しい環境のなか、2歳ぐらいまでは週6日、祖父母の家に預けれていました。実の両親には、ほとんど育てられなかったので物心がつく頃には「捨てられた」という思いが潜在意識の奥にありました。
 
そのため私は寂しさから「自分は愛されてはいない存在なので、自分が愛される存在になるには何をすればいいか?」といった意識が、他者との関わり方で重要な意味合いになっていきました。愛されるために自分がやってきたことでうまくいったことに対しては〇、失敗したことに対しては×という考え方です。
 
そういった経験を積み重ね、自分の判断基準をつくっていくのですが、そうなっていくと、いつしか「自分が愛され認められるためにはどうすればいいのか」という観点でしか人間関係がつくれなくなってしまいます。
 
過去の経験、体験から「期待しても裏切られて傷つくので、最初から距離を置くようにしよう」が〇になり、自らその結果を招いておきながら「ほら、やっぱり裏切られた。本気にならなくてよかった」と解析するのです。このように自らが思い込んだ通りに行動して結果がでると、その思い込みはさらに強固なものになり、揺るぎないものになってしまうのです。
 
こういった現象を心理学では「イラショナル・ビリーフ(非道理的な思い込み)」と呼びます。
 
客観的に見ればおかしなものの見方、考え方であっても、それを自分で無意識に何十年も何十年も持ち続けてしまいます。
 
たとえば、女性に多いのが、「悲劇のヒロイン」という潜在意識を持ってしまっているケースです。付き合う男性が自分を支配しようとして、自分はいつも我慢を強いられている、と思い込んでしまう状態です。
 
そういうものの見方、考え方が長くなると、職場の男性上司も自分を支配している加害者としてとらえてしまい、自分はいつも被害者と思い込むようになります。

 もちろん、本当にそういう状況下にいてご苦労されている人もいるでしょう。
 
ですが、案外、客観的に見ますと、女性のほうが男性上司を敵対視していることによって、上司も対立姿勢を強めるようになり、そのうち本当に「支配する側と支配される側の役割」になってしまうこともケースとしてはあります。

 この場合、女性はずっと被害者でいることができますし、「悲劇のヒロイン」という潜在意識の自己イメージを守ることに成功します。

 こうした潜在意識の働きは、じつは本人も周りも見えていないことが多いので、まずは自分の潜在意識を観察して自覚することがとても重要になっていくのです。

異性との関係における事例

 ここからは、さらに具体的な例で解説していきたいと思います。

 社会人5年目のAさんとBさんがいます。Aさんは、お付き合いする女性との関係が長続きせずに悩んでいます。Aさんは、Bさんに相談を持ち掛けます。以下、その相談の会話からはじまります。

A「Bさん、今日は時間貰ってありがとうな。前から話はしてたと思うんだけど…。」

B「うん、いつも長続きしないんだろ。」

A「そうそう。」

B「別れるきっかけっていつも何なの?」

A「だいたい、俺が疲れちゃうんだよね。本当はお互い心地よい距離感で、対等な関係性でいたいんだけどさ、すっごい甘えられちゃうんだよね…。」

B「Aは尽くすタイプだもんなあ。」

A「そうなんだよね。サプライズとかやっちゃうんだけど、その後凄い疲れちゃう笑」

B「甘えられて重い感じなの?」

A「そうそう!本当は心地よい距離感でいたいんだけどなあ。」

B「でも、サプライズとかして尽くしちゃったりするんだ。そりゃ頼られちゃうだろ。矛盾してない?」

A「…。」

B「(あれ?地雷踏んだ?)」

 さて、Bさんが地雷を踏んでしまったことはさておき、この女性関係におけるAさんの潜在意識はどのような働きがあるのでしょうか?

実はAさん、ご家庭の仲がすごく悪かったそうです。ご両親は毎日のようにケンカし、Aさんが怒鳴られてしまうこともしばしば。物心がつくころには、「私は愛されていないんだ」「私のせいで、二人は仲が悪いんだ」という思いが潜在意識にありました。

やがて、Aさんは家庭内を安定させるためにお互いの機嫌を取る役割をすることになります。子どもの立場としては、両親には仲良くしてほしいですから。本当は自分自身が両親に甘えたかったはずですが、その前に二人のご機嫌を伺う。そうするうちに、「自分から尽くし、相手の機嫌を損ねないこと、喜ばすこと」が〇という判断になります。そうやって成長していった彼には、以下のような潜在意識が働くようになりました。

  • 自分が愛されるようになるためには、まず自分から相手の役に立たないといけない。機嫌をとらないといけない。
  • ①から、愛されたいので友人、恋人、家族に過度に尽くすようになる。
  • 周囲から頼られるようになる。
  • しかし、本当の目的は愛される、自分が甘えることなので、それが実現できないと理解すると疲弊して自分からシャットダウンしてしまう。
  • 結果、人間関係が長続きしなくなる。

以上がAさんの潜在意識です。彼の問題は、自分が一番に愛されるために相手に尽くし

てしまい、頼られてしまって自分が甘えられない、愛されているのかがわからなくなるという点です。そして疲弊してしまって周囲との人間関係が希薄になってしまっています。Aさんはこの潜在意識の動きに無自覚です。このままでは、新たに人間関係を築いても

  • 過度に尽くしてしまう。
  • そんな彼の周囲には、引っ張ってほしい、頼りたいという人が集まってしまう。
  • 自分が甘えられないと判断すると疲れてシャットダウンしてしまう。
  • 脳が「人間関係」=「疲れる」と判断してしまう。

この繰り返しによって、どんどん人間関係がいやなものになってしまっています。Aさんが人間関係をよくしたい、彼女を作りたいと願えば願うほど、「人間関係は疲れるものだ」という判断が蓄積するという状態です。

ではAさんはどうすればよいのでしょうか?先述した通り、Aさんは自分の潜在意識には無自覚なので、まずはその自覚を行うところからスタートです。そして「無意識の活動=潜在意識」をうまくコントロールしコミュニケーションする力を習得することによって

1.人間関係を面倒くさいものや自分に害を与えるものと捉えるのではなく、仕事や人生を充実させてくれる素晴らしいものと考えられる。

2.過度な貢献ではなく、深い信頼のもと、本当に求めていることをお互いに提供し合える関係性を構築できる。

以上のような未来を獲得することにつながっていきます。

つまり、自分自身の思い込みにとらわれるのではなく、お互いの人間関係にとってどうしたらよい方向に進むのか、本当の願いはなんなのかという目線を持ち、関係構築を土台にして常に考えていることでしょう。

自身の内面に目を向ける

自分と自分自身を取り巻く世界に対してどのようなとらえ方をするのか。

 人の性格や価値観は、ほとんどの人が10歳くらいまでの環境や経験によってつくられていきます。仮にそれが「イラショナル・ビリーフ(非道理的な思い込み)」であっても、それを自分で無意識に何十年も持ち続けてしまいます。

 あなたは、これから先もずっとその思い込みを抱えながら人間関係を築いていきますか?

 それとも、思い込みから自由となり、将来にわたって出会うすべての人々と発展的な人間関係を築いていきますか?

 こうした潜在意識の働きは、じつは本人も周りも見えていないことが多いので、まずは自分の潜在意識を観察して自覚することがとても重要です。

それを観察してみたいという方には、個人向けセッションもありますので気軽にお問い合わせください。

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