潜在意識は5つの層でできている
潜在意識は決して特別なものではなく、そのメカニズムをきちんと理解し、訓練すれば誰でも簡単に使いこなせることができます。
そこで本メディアでは、潜在意識がどのような構造をしているか、人間の脳の仕組みやクセなどを交えながら、わかりやすく説明してまいります。
まず、一般的に「潜在意識」を説明するときは、次のような氷山の絵が用いられます。水面より上に出ている氷山の一角が1%の顕在意識で、水面下に隠れている氷山の本体が99%の潜在意識である、という絵です。

「ああ、たしかに見たことがある」という人もいるかもしれません。そして同時に、こんな疑問も出てこなかったでしょうか。
「肝心の潜在意識の99%の中身はどうなっているのだろう?」という疑問です。
弊社では、この99%の構造を、誰にでもわかるシンプルな一枚の絵でまとめています。
潜在意識はピラミッドのように5つの階層で構成され、「アイデンティティー」「エネルギー」「イメージ」「感情」「思考(考え)」という順番でそれぞれが影響を受けています。つまり、潜在意識の根底にあるアイデンティティー(自分自身をどう思うのか、どう規定するのか)によって、エネルギーやイメージがつくられ、そのイメージに応じて考え・感情が生まれてくるわけです。さっそく図の上部から順に説明してまいりましょう。
潜在意識の五階層

氷山の一角である「顕在意識1%」にあたるものが、「表情・言葉・行動」です。
人は、相手の表情や言葉、行動など目に見える要素をベースにコミュニケーションを行っていますが、その表現(表情、言葉、行動)が生まれる背景にあたるのが99%の部分です。表情よりも言葉、言葉よりも行動のほうがより強く相手に訴えかける力を持っています。
表情には出ているが言葉にしない、発言はするが行動はしない、というように表情だけ、言葉だけのコミュニケーションでは影響力も違ってきますよね。
次に、潜在意識の中でも浅いところには「表情・言葉・行動」を生み出している「考え・感情」があります。夫婦ゲンカの際に正論を言っても相手が行動を変えないように、「考え」より深くにある「感情」が納得しなければ人の行動は変化しません。
では、人間の考え、感情を生み出しているものとは、いったい何でしょうか?
それは過去の経験、体験からくる「イメージ」です。
子どもの頃に犬にかまれた人が「犬=怖い」というイメージを抱くのと同じです。
イメージのなかには、先入観や価値観、〇×、善悪、好き嫌いといった判断基準(判断のモノサシ、色眼鏡、フィルター)、「~しなければならない、~であらねばならない」といった強迫観念や固定観念なども含まれます。
また、単語に対するイメージもこの3階層に収納されます。
たとえば「アップル」と聞いたら、皆さんは何をイメージされますか?
ある人は、果物の赤い「リンゴ」をイメージし、ある人はスティーブ・ジョブズの「アップル社」をイメージします。中には「白雪姫」や「ニュートン」と答える方もいるでしょう。アップルといったシンプルな単語でも、それぞれの人が抱くイメージは様々です。単純な単語一つでも一人ひとりの頭のなかで展開されているイメージが全く違うということは、複数の単語を用いた文章になれば、なおさらイメージのズレは広がっていく一方です。
こうして認識がズレることでコミュニケーションがズレるのですが、「単語=イメージ」のつながりが人によって違うと理解できているだけでも、コミュニケーションのミスを減らすことが容易にできます。
4階層の「エネルギー」は人間の内にあるものです。
電池のエネルギー残量が少ないとラジコンが動かないように、人もやる気やモチベーションなどのエネルギーが少なければ、活動する気力も湧きません。逆に若い人やエネルギッシュな人(エネルギーのある人)は、元気で活動的です。
感情や行動の源にあるエネルギーは、潜在意識の深いところにあるので、元気があるフリをすることは簡単ではありません。
5階層の「アイデンティティー」は「自分自身をどう思うのか?」といった自己認識です。たとえば、名刺に書かれている肩書やその人の出身地、性別、所属する組織・団体や人種・民族・国家・宗教などもアイデンティティーを構成しております。
これは単に自分が意識できている自己イメージだけではなく、自分は男だとか、自分は人間だ、自分や宇宙は存在しているといった無意識レベルまで含んだアイデンティティーを意味しているのです。
この図をどのように活用するのかは、これから説明していきますが、本稿を読み終わった頃にあらためてこのシンプルな絵を見てみると、潜在意識の理解に欠かせない図であることを感じ取っていただけることと思います。
人間関係のマスターキーを使って、相手の潜在意識の扉を開き、そこにアプローチすることでムダなエネルギーを使うことも、ムダな感情の攻撃にさらされることもなくコミュニケーションを成立させることができるのです。
潜在意識を理解する視点
突然ですが、みなさんは友人から「焼肉行こうぜ!」と誘われたらどんな反応をしますか?仮に焼肉大好きなAさんが言われたとしたら、Aさんの顕在意識はどんな働きをするのでしょうか?
1、表情・言葉・行動:嬉しそうな表情で「行くよ!」と焼肉屋に出かける。
となるでしょう。では、潜在意識はどうなるでしょうか?
① 考え、思考 :焼肉なら行くよ当然!
② 感情 :嬉しい!
③ イメージ :焼肉=おいしい、大好き!
④ エネルギー :食欲
⑤ アイデンティティー:私は肉食系
といった動きになります。Aさんは、5階層目のアイデンティティーでは自分自身を「肉食系」と規定しています。そんなAさんが「焼肉に行こう!」と誘われると当然、3階層目のイメージの中には焼肉に対する良いイメージがあります。そのイメージから生まれる感情は焼肉に対しての肯定的な感情であり、その感情が生み出す思考は選択の余地なく「焼肉に行こう」というものになります。
ここまでが肉食系Aさんの例です。
それでは、同じく「焼肉に行こう」と言われた厳格なヒンドゥー教徒Bさんはどんな反応を示すでしょうか?みなさんもなんとなく想像できるかもしれませんが、顕在意識での反応は以下の通りです。
表情・言葉・行動:怒りに満ちた表情で「私が誰なのかわかっているのか?」と怒り出す。
では潜在意識ではどんな働きがあるでしょうか?
① 考え、思考 :この人は何を言い出すんだ!
② 感情 :怒り
③ イメージ :焼肉=神の使いである牛を殺す行為
④ エネルギー :他者否定
⑤ アイデンティティー:私はヒンドゥー教徒である
ヒンドゥー教には牛は神の使いである、という教えがあります。したがってインドにおいては神聖な生き物として扱われており、堂々と道の真ん中を牛が歩いている、という光景があります。
そんな厳格なヒンドゥー教徒のBさんに「焼肉にいきましょう」なんて言ったらどうなるでしょう?5階層目のアイデンティティーでヒンドゥー教徒であるという自己規定をしています。牛は神聖な、神の使い。焼肉は神聖な牛を殺す行為となります。そのイメージから生まれてくる感情は怒りであり、焼肉に誘う、という行為を理解できないでしょう。
以上が焼肉を通じた具体例です。少し極端に感じられたかもしれませんが、この焼肉のようなイメージのすれ違いがいわゆるコミュニケーションのズレにつながり、人間関係に大きな影響を与えるのです。
改めて、冒頭に戻ります。
潜在意識はけっして特別なものではなく、そのメカニズムをきちんと理解し、訓練すれば誰でも簡単に使いこなせます。
あなたは、これまで通り目に見える1%の顕在意識を重視した道を選びますか?
それとも、私たちと共にこのシンプルな潜在意識の5階層のモデルをマスターして、素晴らしい、希望に満ち足りた人間関係を構築できる道を選びますか?
ぜひ、潜在意識をコントロールできるようになり、望んだ世界を引き寄せられるあなた自身となってください。