トラウマをつくる本当の原因とは?

仕事の成果は人間関係に比例する

皆さんはイメージできますか?人間関係がボロボロなのに、仕事やプライベートが充実して幸福感を得ている人を。誰からも信用されていないのに、仕事で成果を上げている人を。

私にはちょっと想像できません。仕事やプライベートが充実して幸福感を得られている人は、人間関係が上手くいっているから、その成果を手にしています。

反対に、仕事やプライベートでストレスやプレッシャーを抱えている人は、人間関係を「面倒くさい」「怖い」「自分に余計な害を与えるもの」「むなしい」といった感覚でとらえています。

これは、これまでに人間関係で散々「イヤな思い」「残念な出来事」「悲しみや恐怖」を経験してきたことが関係しているのでしょう。

いわゆる「人間関係のトラウマ」というものです。

ですが、こうした負の感情は、じつは人間関係のトラウマが原因ではありません。真の原因は自分も、他者も表面的にしかとらえていないことにあるのです。

要するに、目で見える1%の部分だけを見て、他者を理解していると思うから「人間関係のトラウマ」として片づけるしかないようなことが起こってしまうわけです。

目で見える1%に囚われていないか?

人は相手の「言葉」や「表情」などから「きっとあの人はこう考えているに違いない」と思い込み、相手のことを決め付ける傾向があります。相手の立場を理解し、その言葉に含まれた思いを知ることがなければ、嫌いな相手や苦手な相手を避けるようになり、「もうあの人とは付き合いたくない」「二度とこんな思いはしたくない」と自分の経験や体験を人間関係のトラウマとして処理してしまうようになるのです。

これは、1%の部分だけを見て判断した結果です。

しかし実際は、目に見えない99%の潜在意識に影響を受けているわけですから、思うようにいかないのも当たり前なのです。

その顕著な例がITの進化です。

現在の世の中は、スマートフォンやタブレット端末などの機器が誰でも簡単に使えるようになり、ネットワークにつながれば、メールやSNSなど、いつでもどこでもコミュニケーションが取れるようになりました。

しかし、便利になった一方で、コミュニケーションの行き違いやトラブルは増えています。大切な話もテキスト情報(文章やスタンプなどの記号情報)でのやりとりに頼ってしまい、表情やしぐさに現れる感情の働きがつかみにくくなってしまうからです。

実際、相手がどんな人かわからないままでも、表面的な言葉のやりとりだけで人間関係が築けてしまいます。相手が何を考えているかわからなくてもいいのですから、関係性が希薄になってしまうのは当然です。

まさに現代は、相手と本当の関係性が築けずに、いつも衝突したり、誤解したり、されたりすることで不安な状態になっているといっても過言ではありません。

私は会社に不要な存在なのか?

あるところに、20代で転職をしてきた中途入社の社員Aさんがいました。彼は能力も高く、事業部長もかなり期待をかけている存在でした。

部長は早く一人前になってもらおうと特別研修を組み、またチームリーダーやメンバーにも丁寧にフォローするよう指示しました。しかし、このAさんは、部長や同じチームに対して、次のような印象を抱きました。

  • 部長が特別な研修を組んでいる理由は、私が期待外れの人材だからだ。
  • チームリーダーが丁寧に指導をするのは、私が仕事のできない問題児だからだ。
  • 周囲のチームメンバーがフォローしてくれるのは、未熟で能力が無いからだ。
  • したがって、おれはダメな奴だ。この会社にいられない。

このような思いを抱えながら働いていると、職場の人間関係はどうなっていくでしょう?

  • 部長から声を掛けられても緊張してしまう。見捨てられるのでは?と思ってしまう。
  • チームリーダーとの面談が億劫。面談すればするほど評価が下がると思ってしまう。
  • チームメンバーからフォローされると、メンバーの貴重な時間を割いてしまって大変申し訳ない気持ちになる。
  • やっぱり人間関係は辛い、悲しいことばかりだ、という思いになる。社内の人間とは関わらなくなる。

そんな彼は、周りの目にどう映るでしょうか?

  • 部長「最近Aさん元気がないなぁ。どうしたらいいんだろう?」
  • リーダー「Aさんが何を考えているかわからない。避けられている気がする。」
  • メンバー「フォローしても感謝されない。ちょっと寂しいな~」

結果、お互いに不信し合う「相互不信」の状態となり、コミュニケーションを避けるようになっていきました。

期待されていたAさんは、周囲の振る舞いや発言から「自分は期待外れなんだ」と決めつけてしまったことで、結果として人を遠ざけることになりました。そして「もうこんな人とは付き合いたくない」と、この体験を人間関係のトラウマとして処理することにしたのです。

これが、お互いに目に見える1%、表面的なコミュニケーションに終始してしまった結果です。

発言の背景を理解する

さて、みなさんはAさんの話を聞いて何を感じられたでしょうか?この後、このチームと中途社員Aさんとの関係性は改善されそうでしょうか?仕事の質が向上し、発展するように見えるでしょうか?

Aさんは同僚とコミュニケーションを行うこと自体にブレーキがかかっており、チームメンバーもそんなAさんを「理解できない」と決めつけてしまっているので、お互いに歩み寄りができない状態です。

私たちは「言葉に囚われる」と表現することが多いのですが、コミュニケーションのうち表情、言葉、行動などの目に見える1%しか認識せず、99%を無視しているとこのようなケースに陥ります。

では、潜在意識の5階層にあたる99%を活用していたとしたら、どのような展開になっていたのでしょうか?

おそらく、次のようになっていたことが予想されます。

  • 言葉に囚われたり、勝手な思い込みに走ったりしない。
  • 上司やリーダーの言動の背景を確認し、誤解を自ら解消する。
  • 不安な点も意見交換し、相互理解を深めることができる。
  • 両者ともストレスなくスムーズに業務を進められる。
  • Aさんのパフォーマンスも向上し、チームの生産性が上がる。

お互いに「相手の言動の背景を理解する質問力」を持って、実践していれば

1.人間関係を面倒くさいものや自分に害を与えるものと捉えるのではなく、仕事や人生を充実させてくれる素晴らしいものと考えられる。

2.用件だけの希薄な関係性ではなく、深い信頼のもと、楽しみながら個人やチームの生産性を上げることができる。

つまり、

「自分自身のことばかり考える」のではなく

「どうすれば、お互いにとって良い方向に進むのか?」

という目線を持ち、関係を構築するようになっていくでしょう。

ちなみに例に出したAさんは、その後あることがきっかけで「上司が自分に期待を寄せてくれていた」ことを知り、「私は期待外れで必要のない存在なのだ」という思い込みから抜け出て、ストレスなく仕事に臨むことができるようになりました。

あなたの身近に、ちょっとした誤解をしている人がいたら、ぜひ声をかけてあげてください。その一言で思い込みが外れ、みんなが過ごしやすい雰囲気に変わってくるかも知れません。

<第1章>
すべての答えは“潜在意識”に隠されている
人間関係の悩みが一向に減らない理由
トラウマをつくる本当の原因とは?
コミュニケーションが苦手な人の3つの特徴
なぜ相手の話を聴けない人が多いのか?
成功者は同じ視点を持っている
自動車の運転も人間関係も基本は同じ
思い込みはトラブルの種

 

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