信頼できるビジネスパーソンの見極め方

小川:ライブドア事件で学んだ信頼できるビジネスパーソンの本質というテーマですが、石山さんはライブドア事件で具体的にどういうことを学んで、それをどういうふうに生かしているのですか?

石山:私の潜在意識の本の冒頭に、観点、判断基準、認識の3つの軸で、仕事ができる人やグローバルに活躍できる人とそうでない人との違いが書いてあります。

まず、観点が固定化している人は、自分が絶対正しいと考えますから他人の話を聞きませんし、判断基準を自覚していない人は内省する癖がないので、同じことを繰り返して失敗ばかりしています。認識については、思い込みと事実がイコールになってしまう人が多いですね。この3つの特徴を持っていると、メンタルがやられてストレスが溜まって仕事の効率が悪くなります。

逆に、観点が自由な人は他人の話をよく聞きますし、判断基準が自覚できている人は内省する癖があるので同じ失敗を繰り返しませんよね。結果、成長スピードが早い思い込みと事実は違うと分かっている人は、相手が言ったことと自分の認識のズレを修正する習慣があるので、人間関係が良好になります。そうすると、メンタルが強くなり、ストレスが減っていくという傾向があります。

例えば、お金を持っていて、有名で、影響力があると人って寄ってきますよね?でも、もし事件が起きて逮捕されたりしたら、この人は駄目だなと認識されてしまうので、瞬く間に人が離れていきます。そういうときに、この人は「自分のポジション」と付き合っていた人なのか、「石山喜章」という人間と付き合ってくれていた人なのかということが明確に分かります。

先ほどの観点の話につながりますが、自分のことしか考えていない人は視野が狭いので、そういった動きが傍から見ていると分かりやすい。逆に、観点が自由で視野が広い人は、他人の意見を受け入れて自分の価値観を変えていけるので、成長のスピードが早いし、色々な状況に対応できますし、付き合っていて気持ちがいいなというのを、ライブドア事件の前後でたくさん経験しましたね。

ライブドア事件が起きたときは、自分たちの何が悪かったんだろうと結構反省しました。つまり、ベクトルが内に向いていました。でも、普段から全く反省しない人は、「こんなにがんばってきたのに不当な目に遭って」と怒りが外に向いていましたね。いや、おかしいのは自分たちなんだから、ちょっとは振り返ろうよと思うわけです。内省するかしないかで同じ失敗を繰り返すかどうかが決まると思います。

小川:従業員の人たちが自分の勤務している会社が潰れそうになったときに、自分のことを考えて会社を離れるのはやはり悪いことですかね?

石山:悪くはないと思います。

小川:それはある意味、当たり前と言えば当たり前のことですか?

石山:生き残るためには当たり前ですよね。でも、今はそう言えますけど、あのときは裏切られたと思うじゃないですか。一緒にやりましょうと言われて、勝手にこっちも調子に乗っていたので。なのに、いきなり「もうできません」と言われたら、クライアントも外注先も皆「えっ!?」って思いますよね。出資先も「お金を出したい」から「お金を返せ」に変わりますし。

小川:すごい変わり様ですね、それは(笑)

石山:仲良くしようと言って寄ってきた人が、急に連絡も取れなくなるとかたくさんありましたよ。

小川:ライブドア事件で会社が厳しい状況になったときの対応を見て、どういう人が信頼できるのかが分かったということですね?

石山:そうですね。あのとき、名刺を持っているレベルだと3,000人ぐらいは知り合いがいると思っていたのですが、実際に事件後に助けてくれたのは3人ぐらいでした。本当に皆、条件や状況によって、こんなに行動が変わるんだなと思いましたね。基本、自分の利益で物事を考えて動いているんだなと。それがいいとか、悪いとかではなくて、それが人間の性だなと思いましたね。少し空しかったですけど。

小川:それでは最後に、石山さんにとって「信頼できる人」とは、一言で言うと、どんな人ですか?

石山:人として付き合ってくれている人ですね。

小川:人として付き合ってくれる人?

石山:はい。条件や状況で付き合っている人ではなくて。

小川:なるほど。

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